障害年金を受給するデメリットはあるのか?
こんにちは、ライフエイド社会保険労務士事務所の鈴木宏郎です。
今回は障害年金のデメリットについて解説いたします。
結論から申し上げると、障害年金を受給することによるデメリットはほとんどございません。
ただし、注意点がありますのでお伝えいたします。
障害年金を申請されるかお悩みの方はぜひご参考ください。
目次
1、障害年金を受給する際に気を付けること障害基礎年金を受給している方が亡くなった場合は、配偶者や遺族に寡婦年金又は死亡一時金は支給されない
2、法定免除を申請した場合、その後免除期間内の保険料を納付しなければ65歳以降に支給される老齢基礎年金が低額になる
3、20歳前の傷病で障害基礎年金を受けている場合のみ、所得制限がある
4、傷病手当金を申請する場合は障害年金の受給が勤務先に知られることがある
5、家族の扶養から外れる場合がある
6、生活保護との調整がある
7、傷病手当金との調整がある
8、配偶者加給年金が停止される
前述したとおり、障害年金を受けるデメリットはほとんどありませんが、注意するべきことはあります。
障害年金を受給する際に注意しておきたいこと
障害基礎年金を受給している方が亡くなった場合は、配偶者や遺族に寡婦年金又は死亡一時金は支給されない
障害基礎年金を受け取っている方で、65歳前にご自身の老齢基礎年金を受け取る前に死亡した場合は、寡婦年金や死亡一時金は支給されません。
障害年金を請求してから7か月以内に亡くならない限り、あなたが障害年金を受給した額のほうが死亡一時金よりも多くなります。なので、通常は、障害年金を受給するメリットが死亡一時金不支給のデメリットを上回ります。
法定免除を申請した場合、その後免除期間内の保険料を納付しなければ65歳以降に支給される老齢基礎年金が低額になる?
1級又は2級の障害年金を受給されている方は、国民年金保険料が法定免除となります。
国民年金保険料が免除になると、当然免除を受けた期間に対応する老齢基礎年金の金額が、保険料を全額納付した場合と比べて半分になります。したがって、法定免除を受けた場合、65歳から支給される老齢年金が低額になります。
法定免除の対象であっても任意で保険料を納付することもできますので、あまり大きなデメリットとは言えないでしょう。
20歳前の傷病で障害基礎年金を受けている場合のみ、所得制限があります
障害年金は基本的に所得制限はありませんが、例外として20歳前の傷病による障害基礎年金は保険料を払っていなくても受けられる年金であるため、所得による制限があります。
前年の所得額が4,721,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となります。
以下の図をご参照ください。
傷病手当金を申請する場合は障害年金の受給が勤務先に知られることがあります
健康保険の傷病手当金を申請する場合は、申請用紙に障害年金受給中であることを記載する欄があるため、勤務先が障害年金の受給を知ることになります。
自ら勤務先に申告する義務は全くありません。マイナンバーを届けていても、障害年金は無関係であり勤務先に知られることはありません。
また、障害年金は非課税ですから、年末調整や確定申告をする必要もありません。
家族の扶養から外れる場合があります
配偶者の扶養になっている方が、障害年金と他の収入の合計で180万円以上になると扶養から外れることになり、自分で厚生年金・健康保険に加入しなければなりません。
他の収入がある場合は注意が必要ですが、障害年金だけで扶養から外れることはほとんどありません。
生活保護との調整がある?
障害年金を受給できれば生活保護+障害年金になると誤解されている方がいますが、実際は、生活保護と障害年金と両方受給できてもトータル支給額は変わりません。
それは、障害年金で受け取った額と同じ額が生活保護から減らされるからです。
傷病手当金との調整がある?
原因となった「病気やケガ」が同一の場合は、同時期に傷病手当金と障害年金の両方を全額受給することはできないことになっています。
この場合、障害年金の方が優先的に支給され、傷病手当金の方は差額がある場合のみ差額だけが支給されることになります。
配偶者加給年金が停止される
配偶者加給金とは、配偶者がいる老齢厚生年金や障害厚生年金の受給者が対象となる加算で、一定の要件を満たしていれば年額約40万円弱(障害厚生年金の場合は年額約22万円)が年金に加算されます。
配偶者加給金の対象となっている配偶者が障害年金を受けるようになると、加給金は停止され支給されなくなります。
もちろん、配偶者加給金が停止されても、障害年金の金額のほうが大きいので世帯としての収入は増えることになりますので、デメリットというほどではないかもしれません。